優れたリーダーを持続的に確保するには、自然に任せるのではなく、明確な戦略と先見性が必要です。MSC/DDIの最新の調査『グローバル・リーダーシップ・フォーキャスト2025』によると、80%の組織が自社のリーダーの供給体制に自信を持てていないことが報告されています。離職や燃え尽き、不確実性が常態化する現代において、サクセッションプラン(後継者育成計画)は組織の成長と安定を支えるのに不可欠な取り組みです。もし、自社のリーダーの供給体制に不安を感じているなら、今から備えても決して遅くはありません。
本ガイドでは、人事部門のみなさまが優れたリーダーの供給体制を構築するのに役立つ、実践的かつ調査に裏付けられたプロセスをご紹介します。
サクセッションプラン(後継者育成計画)とは、必要なときに適任者がリーダーとしての役割を担えるよう、あらかじめ人材を準備・育成しておく仕組みです。これは単なる人事部門だけの取り組みではなく、事業継承と組織の将来に直結する重要な経営戦略です。
サクセッションプランは、短期的な欠員対応を目的とした「代替要員計画」とは異なり、将来を見据えて有望な人材を計画的に育成する長期的なアプローチです。これにより、重要ポジションの後継者が継続的に確保され、組織文化の維持や業務の混乱回避にもつながります。
一方で、サクセッションプランが存在しない場合、優秀な人材の流出やノウハウの断絶、安定性や業績の低下といった深刻なリスクが生じかねません。これらはいつ起きてもおかしくない”潜在的な危機”と言えます。 効果的なサクセッションプランは、リーダーの交代を円滑に進め、予期せぬ事態への備えを強化し、組織のレジリエンスを高めるうえで、極めて有効な手段です。
社内でリーダーを育成している組織は、そうでない組織に比べて、業績で同業他社を上回る確率が2.8倍も高い