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リーダーのバルネラビリティ~弱みを活かした自己変革のアプローチ~

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◆人を大切にする時代の到来

▶はじめに

人材をコストではなく価値ある資本として考え、人に積極投資する動きが活発になってきました。少子化やグローバル化の進展等、背景には様々な要因があるのでしょうが、日本においては、国が「人的資本経営」というコンセプトを掲げ、民間企業の「人への投資」を後押しし始めたことが大きなインパクトになっています。

今後も、人的資本経営の考え方に則り、人への投資を通じて企業価値の向上を目指す組織が増えていくものと思われます。リスキリングや学び直しといった言葉が話題になっているように、組織で働く人々にとって、この流れは自身の能力を磨き、自己成長につなげる絶好の機会になりえます。

極めてポジティブに捉えれば、その先には、組織が人の存在そのものを価値として認め、組織で働く個人が自分らしいやり方で会社に価値を提供し、相互に刺激を与え合いながら組織と個人の変革をダイナミックに起こしていく未来の姿が垣間見えます。

日本の将来を考えれば、「いかに人の価値を毀損せず大切にしながらリーダーのパフォーマンスを引き出していくか」と考える人事担当者や、「いかに自分自身や他者を大切にしながら組織に貢献していくか」と考えるリーダーがさらに増えていくことが望まれます。

そんな未来を創る上で鍵となってくるのが、個々のリーダーが抱える「弱さ」ではないかと感じています。

弊社では、リーダーのマネジメント能力を診断するヒューマン・アセスメントを提供しています。アセスメント後のフォローアップを通じてリーダーの能力開発の支援を行う中で、リーダーの様々な弱みや悩みに触れる機会が多くあります。「強み」を活かしてパフォーマンスを発揮する人材がいる一方で、「弱み」が足を引っ張り、組織からの期待に応えきれずに伸び悩んでいるリーダーが一定数存在します。

強みはさらに伸ばし、弱みがあれば克服するというのが能力開発のセオリーですが、弱みを生み出す背景心理を掘り下げないまま解決策を講じても、対症療法で終わってしまう懸念が残ります。また、弱みは強みの裏返しであることも多く、弱みを解消しようとすることで強みまで打ち消してしまうリスクにも注意する必要があります。

環境が複雑化しマネジメントの難易度が高まる中で、リーダーは自分が抱える「弱さ」とどう向き合っていけばよいのでしょうか? 組織からの期待と自分が望む方向が一致せずに悩んだり、リーダーシップに対する自信がもてなかったり、行動変容しようと焦るあまりに自分を見失い悪循環に陥ってしまったりと、リーダーが抱える悩みは多種多様です。そこで本コラムでは、リーダーが抱える「弱み」を活かした自己変革のアプローチについて考察したいと思います。

▶リーダーのバルネラビリティ

以下は、MSC/DDIが隔年で実施しているリーダーシップ調査「グローバル・リーダーシップ・フォーキャスト2023」内にある「リーダーのバルネラビリティ」に関するデータです。データからは、日本のリーダーは自身の失敗や欠点を受け入れたり、自分の弱さを見せたりすることには不慣れであることが窺えます。

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バルネラビリティとは、「自分の弱さを見せること、傷つきやすさ、もろさ」といった意味合いの概念です。米国の研究者であるブレネー・ブラウンが、2010年に世界的なプレゼンテーション動画の配信サービスであるTEDトークで「傷つく心の力(The power of vulnerability)」という題目で講演し、一躍脚光を浴びました。ブレネー・ブラウンは、著書『本当の勇気は「弱さ」を認めること』の中で、自分の弱さと向き合いそれを認めることがいかに困難な精神的作業であるかに同意しつつ、人とのつながりを豊かにするためには自分の弱さをさらけ出す勇気をもつことが重要であるとの考えを示しています1)。

言われてみれば確かに、自分の弱みをさらけ出すことのできるリーダーは少ないかもしれません。部下に成功体験を語る上司や先輩はたくさんいますが、失敗体験を語ってくれる人はあまりいません。

しかしMSC/DDIの「グローバル・リーダーシップ・フォーキャスト2023」では、以下のような結果が得られています。

「従業員は、自分の感情的な弱さを見せるリーダーを信頼する確率が5.3倍高い」
「リーダーが自分の失敗や欠点を真摯に認めている場合は、そうでない場合と比べて信頼が維持される確率が7.5倍高くなる」

リーダーが失敗体験を語ることで、メンバーは、人間なら誰しもが失敗を繰り返して成長・成熟していくという当たり前のことに気づくことができます。普段は見えないリーダーの悩みや葛藤を知ることで、共感もしやすくなります。

メンバーに対して自分の弱さを見せることで、リーダーは自らを成熟させながら他者への思いやりを育み、周囲との信頼関係を築きやすい状態をつくりあげていくのです。ここに弱みを活かした能力開発のヒントが隠れています。「弱さ」を単によくないものとして取り扱ってしまうと、このような成長・成熟のプロセスを辿ることが難しくなります。

▶「 弱みはよくないもの」という固定観念

一般的に能力開発というと、強みよりも弱みに目が向いてしまいがちです。アセスメントを受講したリーダーの皆さんに「強みと弱みのどちらが見つかりましたか?」という質問をさせていただくことがあるのですが、強みに手を挙げる方が1~2割とごく少数なのに対して、弱みのほうに手を挙げる方は大抵8割以上に達します。特に日本人は、うまくできたことに目を向けて伸ばそうとするよりも、うまくできなかったことを洗い出して改善していこうとするマイナス是正の傾向が強いと感じます。

誰しも自分の弱みをさらけ出すことには抵抗があります。できれば人に知られることなく改善したいと思うものです。アセスメントを受けたリーダーとの1on1セッションの中でも、自己認識を整理するためにあえて自身の弱みについて言及してもらうことがあるのですが、問いかけた途端に「自分にはこういう弱みがあるのでこう改善しないといけない」と一気に対策まで駆け抜けてしまう方がいます。弱みを見つけた瞬間にそれを排除したいという衝動がつい反応として出てしまうのは、「弱みがあってはならない」とか「完璧でなければならない」「弱い自分を出してはいけない」といった固定観念を内面に抱えているからにほかなりません。

もちろん、リーダーにとって弱点を克服することは重要です。しかし注意していただきたいのは、自分の弱みを否定し、存在しないものとして切り離そうすると、どこかで必ず無理が生じてくるということです。「弱みは直さなければならない」と思い込んでその解消に躍起になるあまり、弱みを人に見せないよう抑圧する方向に進んでしまうこともしばしば起こります。そうなると自分本来の姿から乖離が生じて自己肯定感が低下し、後で苦しむことになりかねません。

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